姉様よりの頂き物

入院15日目。
放射線治療10日目。
入院からもうまる
2週間が経過している。
しかしまだ治療は
折り返しにも達して
いない。


今週も地道に放射線を浴び続けるのであるな。喉の痛みと
嚥下不良は少しずつ強くなっているように思われるが、まだまだ
これからが本番らしい。粘膜保護の内服液とカロナール
(沈痛解熱剤)を適量服用しつつ・・・という感じになるのだろうか。
ジワリと突き進むしかない。今週から来週辺りがピークになるのか?
それも、迎えてみなければさっぱりわからない。なるようになれだ。


6月分の請求書が回って来た。やはり当初の差額ベッド代(つまり
保険適用とならない個室利用代)が大きい。医療費に関しては事前に
限度額適用認定証を入手しておいたのでその限度額にて済んでいる。
これで大まかな費用の計算が出来る。民間のがん保険から個室利用の
費用は十分カバーしてくれるとの事だし、その他にも色々とお金が
頂ける(まあ長いこと保険料払ってたからそれくらいは、か)と
保険会社は言っているので信じよう。相当に助かる。以前なんたら
いう会社で不払い云々の問題があったが、可能であれば早いうちから
がん保険には加入しておいた方がいいのではないかと思われる。


夕刻、姉様が見舞いに来て下さった。実の姉には知らせていないのに
他人である姉様(長い付き合いの先輩ケアマネで、別事業所に
勤めている。時々ケアマネ会と称して食事などして情報交換
している)に知らせているなんてどうなのだ俺は。でも同業者
なので解りあえる部分がかなり大きいし、昔から僕の事をあれこれ
心配してくれていた。今回もどうなることかと慌てて来てくれたの
だった。僕を見て「よかった、もうげっそりして気の毒な姿に
なっているんじゃないかって不安だったのよ」と。髪を少し切った
以外特に変化がないので安心してくれたようだった。胸を放射線
焼いているので声が出にくいんだけれどもね。


姉様いわく、僕にはなんとしても幸せになってほしい、嫁を
もらって仕事も続けてもっと多くの人を助けて欲しい、と。
そう言いつつよよよと泣き出した。本当によよよという感じだった。
僕などのために泣いてくださる方がこの世にいるのだなあと(いつも
感謝しているが)姉様にはもう感謝以外の言葉が出てこない。
まあ今更嫁は兎も角、もっと活躍したいし生き続けたいので、
「いやあ絶対大丈夫!そうそう簡単にくたばりませんよ僕は、
ははは!!」と、から元気を出したのであった。絶対に笑顔を
崩したくなかった。


「また来るわ」と言い残し、栄養剤とシルバー産業新聞の最新版を
置いて姉様は帰られた。そのあと、少し、僕は泣いた。
数は決して多くないが、僕は出逢う人に恵まれていると思った。
人付き合い悪いやつなのに。 ただ、その幸運に深く感謝を。
明日もいい日にしてみせますよ。ではまたね。