2011年又兵衛桜

両親の50年目の結婚
記念日に北海道旅行を
姉と僕とでプレゼント
する事となった。5月だ。


父はレンタカーで
小樽を基点として
数日間周る計画を立てている。
毎日ネットで情報収集しているが、僕はかつて北海道をふらふらと放浪して
いた頃に愛用していたツーリングマップルを父に渡した。北海道全域の
地図なんて数日間の旅行の為にわざわざ購入するのもなんだと思ったからだ。
バイク乗りやチャリダー(自転車旅行者の愛称)はみんなこのマップルを
利用していたが、案外四輪で旅していた人も利用していたりした。21世紀の
現在ネットとカーナビを使えばいいのだろうが、事前のルート確認はやはり
地図に限る。まあ僕が放浪していた頃のマップルなので情報は旧いけど
今でも充分使える筈だ。父も「ああこれいいな」と言いつつ眺めている。


北海道を数ヶ月に渡り放浪していたあの頃の事が(月並みな表現だが)
走馬灯のように蘇った。青森は大間崎からフェリーで函館に上陸した時の
高揚感。本州と北海道、海峡を挟んで明らかに変わった風、美瑛の
ラベンダー畑やオホーツクのつめたい海の風景。そして何よりも最北端
へと向かうオロロンラインのあの地平線へと続く遥かな道・・・


ああだこうだと父に語った。いいよお北海道はって。でもあの頃、
僕は好き勝手に生きていて両親には散々迷惑をかけ、今でこそ
相談支援専門職でございなんてのたまっているがあれこれあり過ぎて
結局手前の家庭も持てぬひとりもん。他人様より手前をどうにかしろと。
何だか申し訳ないなあと後ろめたさばかりの今日この頃。この期に
及んでこんなチンケな旅行をプレゼントする事位しか出来ないのが
何となく情けないような。しかし両親から見るとクズ同然の生き方を
していたかつてのはぐれ者が今は困っている人の支援者として日々動いて
いるらしいじゃないかと認識してくれているらしい。そんな今の僕に
ついては「好きに生きたらいいんじゃない、尊い仕事だと思う」と。
そんなものなんかな・・・ 北海道旅行の無事を今から祈るのであるな。


寝ます。僕の仕事は尊くはないが、ほんの少しだけ誰かの為になって
いるのかもしれないな。だったらいいな。明日もいい日にしてみせ
ますよ。ではまたね。