こうやって毎晩毎晩日記をつけてもう10年ちょいになるが、最近とみに思うのは、
僕は自分の言葉で話す事が出来ていないという事だ。


自分の意見を述べているつもりだが、実は上っ面だけで本当の自分の言葉を
出せていないのではないか。何処か取り繕うような物言い、人の話を聞いても
その本質を求めないで解った気になって「ああそれはそういう事なのだろう」と
決め付けた物言いをしていなかったか。昔むかしのブルーハーツの歌ではないが
「本当の声を聞かせておくれよ」である。僕は自分の言葉で他者と接していた
だろうか。日記だってそうだ、弱気を書く時も本当の気持ちを書いていなかった
気がする。体裁って奴に無意識にこだわっていなかったか。


隠したかった。随分昔から自分の本音を隠したかった。誰にも
話せなかった。心の奥底から自分の本音をさらけ出せなかった。
体裁にこだわっていた。それがすっかり身についてしまい、結局
他人も自分すらも信用出来なくなっていったのかもしれなかった。
好意を持って貰っても、心の中に入って来て欲しくないという拒否反応が
もしかしたらあったのかもしれなかった。僕は、ずっと心を開いて
いなかったのかもしれなかった。誰にも。


人を支援する事で自分が救われるのだと信じていた。でもそんな思いで
人と関わる事はどうなのだろうか。そんな思いで仕事をしている僕は
本当にその人の事を考え、その人に本当の言葉を送っているのだろうか。
自分を救う為に人に関わり、言葉をかけるのではない。その人が僕の
本当の言葉を受け取る事で「ああ、こいつに話してよかったんだ」と
少しでも思って貰えるようにする事こそが支援者としての根本なのでは
ないだろうか。自分を閉ざし、言葉を取り繕う支援者なんかに何が出来る。
もがいている。辛い。誰の為に、何をしているのだ?