1997年・林道日本一周

旅人の心を何となく
忘れて久しい。そりゃ
そうだ今の僕は昔の
ふらついていた奴では
もうなく、一応では
あるが勤め人なのだ。
歳も歳だし。


だが時々あてのない旅に出たいと思う事もある。今年の夏は心身共に
バランスを崩してしまった事はもうしつこい程書いているが、そんな
中で自分自身のこれまでを色々と振り返る機会を得た。20代の頃の旅の
日々があっての今の僕だとも改めて感じた。良くも悪くも大きな影響
だった。あの頃から今は繋がっている。放浪していなかったら僕は
今の職に就いていなかったかもしれない。良し悪しって奴はこれまた
別にして。

愛機であるアフリカツインを乗りこなすのが心身共に何となくつらく
感じた夏だったし、もっと書いてしまえばもうバイクなんて降りても
いいのかなって思ったりもした。別になくとも日常生活に支障は
ないし。家庭も持たず仕事ばかりして休日は寝てりゃいいってか。
でもそれもどうかなと。他に何もない人生ってのも寂しいもんだぜ。
うーむまさしく葛藤である。レベル低すぎの葛藤だがまあ僕の
レベルだとこんなもんである。

でもふと考える。あてのない旅ってやつは実はまだ続いているのだとも
思った。別に僕に限った事ではなく、決まりきった毎日に飽き飽きしている
人々も実はあてのない旅を続けている。決まりきったように見える
だけで、実際この世界にあてなんて何処にもありゃしないのだから。
明日は地獄か天国か。それは誰といようと孤独な旅だ。そして最後は
自分独りだけで帰り道の無い旅に出るのだ。その時に、これで良かったと
思えるようなそれまでの旅路にしておきたい。それは難しいのだろうか。
ああ、忘れてないじゃん。俺もまだあてもなにもなかったのだ。


明日は晴れるだろうか。明日もいい日にしてみせますよ。
ではまたね。