吹き溜まりの記憶

釜ヶ崎・夕刻

本当に久し振りに
釜ヶ崎へやって来た。
仕事の都合上此処を
通過しただけなのだが
この久し振り感は何なの
だろうか。


かつての日本有数の
ドヤ街は、今や福祉の
吹き溜まりとなった。
生活保護を受給する人々で溢れ、そしてそれにありつけなかった
定住の地(住民票)を持たぬ人々は、こうして労働センターの
前に並び、シェルター(彼等の為に用意された宿泊施設)に一夜の
寝床を求めているのである。この光景はもうどの位の年月繰り返されて
いるのであろうか。そして何時まで繰り返されるのであろうか。


仕事の関係上、一時はこの街のかなり深い所まで脚を踏み入れた事も
あったが、最近はもうまるで縁がなくなっていた。でもこうして
久し振りに通りかかると、懐かしさとも空しさとも何とも云えない
独特の不思議な感覚に陥ってしまった。こんなドヤ街に縁もゆかりも
なかった僕がある日突然此処を訪れて通う事になった時は本当に
カルチャーショックを受けたものであったが、元々怪しげなものや
場所に何となく立ち入ってしまう生来の気質からか「面白いぞ」と。
今となっては極めて不謹慎ながら即座にそう思ってしまったのであった。
様々な人々やら様々な事柄やらに出逢った。結構きつい状況に見舞われた
事も多々であったが、それでも都市の繁栄や時代の進歩とまるで
関わりがなさそうなこの不思議な場所の空気感への好奇心は絶える
事は遂になかったように思う。少し危険な事もあったが、それすらも
面白がって(油断は禁物であったが)いたっけか。


次の行き先がまたこの街に関わる事になるのか、それとも全く違う
街に行く事になるのか今の所見当もつかないが、この街よりも
刺戟に満ち溢れた所はいずれにせよ他にないだろう。尤も、僕自身は
その刺戟にすっかり麻痺しているらしいので困りものではあるのだが。


明日からは三連休。試験勉強と休養にズルズルと費やします。
でも連休最終日はちょいとだけ勝手に出社して片付けものなど
しなくては。うむ。


明日もいい日にしてみせますよ。ではまたね。