旅先ラーメン

1990年代、当時既に
存在してはいたが、
旅先ではあまり見掛け
なかったものに
携帯電話があった。


尤も、それは僕が
旅していた北海道での
話になるのだが。バイクに野宿装備を積んで北海道を廻っていた当時、
僕は携帯電話を持って旅しているライダーを見た事はなかったし、
そんなものを持てるリッチな(?)雰囲気の旅人もいなかった。
僕が貧乏で、ついでに似たようなあまり金を持っていなさそうな
連中としか出逢わなかっただけなのかもしれないが。


旅人達はキャンプ場やライダーハウスと云われた簡易宿泊所などで
たまたま出逢い、情報交換をしていた。そしてそんな連中と、特に
待ち合わせをした訳でもなかったのに広い北海道の何処かの
キャンプ場などで、ばったり再会したりする。偏屈者で(おい!)
当時からあまり人付き合いの良くない僕ではあったが、そういう
偶然の出逢いはとても面白く、何時しか歓迎するようになっていた。
お互いアドレスを交換したりして、旅から帰ってきて現像した
(デジカメもなかった)写真を送ってあげたり逆に貰ったり。
年賀状のやりとりをしたりしていたものだった。その後も続い
たり、それきりになったり色々あったが、それはそれで良かった。


人生の中、生まれた所とは違う遠い所でたまたま出逢った人々。
一期一会の輝きを求めて(いや、実際のこの言葉の意味は、
しょっちゅう会っているような人々でもその会っている瞬間を
大切にし、心を込めて接しなさいなんて意味らしいのだけどね)。


ところが、最後に北海道を訪れた1999年、僕はおよそひと月滞在した
上富良野のキャンプ場で「へえーー!」と驚く体験をした。携帯電話で
やりとりしながら待ち合わせをして合流するライダー達が現れたのである。
最初の出逢いは偶然だったのかもしれないが、その後は携帯で連絡を
取り合って行動する。そうこうするうちに同じような人々が増え、
おともだちの輪が出来上がる。成る程、これならば何処にいても連絡が
取り合えるし間違いも少ない。


しかしそこでも僕の偏屈の虫が騒いでしまった。「そんなの旅じゃない」
実は仕事の関係上、1996年頃に僕は生まれて始めて携帯電話を手に
入れている。最初はその便利さと新しいおもちゃを得たような嬉しさで
常に持ち歩いていた。しかし何時でも何処にいても掛かって来る。
常に電波に心を縛られているような気持ちにさえなってしまった。
こりゃあいかんとやがて手放したのである。そんな僕にとって、
自由な旅に心を縛り付ける携帯を持ち歩くなんて実につまらない事の
ように思えた(うーむ、若者だなあ青臭いなあ)。最初は面白がって
その一団と関わっていたが、やがて少しずつ距離を置いていってしまった。


今? スマホを買いました。仕事で要るもん。旅にも持っていってます。
だって旅先でマシントラブルとかあった時困るもん(実際あったっけか)
ネットもないと色々と困ります。ついでにこうしてブログなんか長々
書き続けてみたりもして。自分からはあまり積極的ではないけれど、
ごくまれにコメントなど戴くと嬉しいもんだからありゃこりゃレスして
みたりして。でも偏屈さだけはあんまり変わらんか。あの頃のような
自由な気持ちは、どうだい? 


まあ、実際は待ち合わせて旅をする方々のほうが愉しいのだと思う。
その場限りの出逢いと別れ、なんて寂しいからね。でも、寂しさの中に
何かがあるように思っていたんだ、当時の僕は。今も、しかしそんな
考え方が残ってしまっているようだ。他人様はどう思われるか知らないが、
こういう生き方は恐らくなかなか変えられない。今現在そういうお年寄りの
相談支援業務をさせて戴いております。きっと未来の僕の姿だなこりゃ、と
時に思いつつ。寂しさの中には、所詮寂しさしかないと何処かで認識して
いながらも。


で、ここまでぐだぐだ書いてなんだが、TOP写真のみそラーメンは何だよ・・・
いや、キャンプツーリングでのノウハウなど体験談など書いてみようかなあと
思っていたのにこのザマだ。アホか俺は。なんでこんな流れになるんだね。
ウーム、思いつきって怖い。たまに早く帰宅出来たってのにこんなもん
書いて終わっちまうのか。


とっとと寝ます。明日もいい日にしてみせますよ。ではまたね。