大掃除請け負います

アリコの飛行船

とある利用者さんの
お宅に特殊寝台
(電動ベッドです)を
搬入する事となった。


先日担当者会議を
行い、ケアプランも
作成し、あとは業者に
お任せ・・・
の筈なのだが、現実は
そうは甘くなかった。


このお宅、兎に角モノが多い。どうしてまあこんな狭い家に
これだけの物品が溢れ返っているのかと思ってしまう。
大掃除をしなければ特殊寝台を設置する事なんて到底無理だ。
だったらヘルパーさんに任せれば? なんて意見はいけませんぜ。
介護保険上での訪問介護に於いてはこの「大掃除」って
やつは算定の対象外になってしまう。あくまでも日常生活上
での支援内容でなければいけない。アホかと思いたくなる制度
だが、初めからそう決められているのだから従うしかない。


この利用者さんは身寄りのない独居であり、僅かな年金を頼りに
生活されている。要介護度は高いが、お金が無いのであまり
サービスを詰め込めない(その辺りで生活保護を受けている
方々との差異が生まれてくる。生保の方で介護扶助を受けて
いるのならば介護サービスの利用には実費が掛からないのだ)
こうなるともうどうしようもない。僕が関わらざるを得ないのだ。
ええええ、やっちまいましたよ大掃除。他に誰が出来るってんだい。
一応業者にも手伝って貰ったけれども、業者は寝台を設置したら
帰っちゃうもんなあ。


部屋は歴史である。それまで誰もその部屋の大掃除なんてした事が
なかったような部屋の歴史に僕は踏み込んだ訳である。まるで
時代が止まっているかのようなそこからは、40年以上前の週刊誌
やら、新聞やらが妙に良い保存状態にて出て来た。踏み込んだ
歴史の処分には大層困ったものである。止まっていた時間を、僕が
急速に動かしてしまったのだ。


特殊寝台は無事搬入され、利用者さんは大層喜んでくれた。
介護保険の単位数についての説明をうんうんと聞いている。
必要性があり、アセスメントの結果導き出した特殊寝台導入
だったけれども、僕が急速に時間を動かしてしまった事への
大いなる違和を利用者さんは一方で感じておられた。そんな
気がした。これで本当に良かったのだろうか。その部屋と
その部屋の持ち主の持つ時間を急速に動かした事で、おかしな
事にならなければ良いのだけれども。考え過ぎかな?


久し振りの肉体労働。全身の筋肉が少しばかり張っている。
悪い気はしなかったけれどもね。


寝ます。明日もいい日にしてみせますよ。ではまたね。