旅は紡ぐもの 旅は光

あんた、これから
何処へ行くのかね。


知りません。着いた
所が結果的行き先
だと考えます。


若いのに若さのない事
云うな。いや、若いから逆にそんな理屈めいた事云うのかね。


すみません、僕の性格です。理屈で固めようとしている筈なのに
固まる前に動いてしまいます。落ち着きがないってよく云われます。
きっと何か何処か生まれつき欠落したものがあるのでしょうね。


それはないだろう。欠落してない奴なんて見た事ねえさ。あんたが
欠けていないなんて俺は何時口にしたかね。みんな何処か欠けている。
やっぱりあんた若いな。まだまだだ。で、何処へ行くのかね。


知りません。知りたくもないし、知った所で知った事を後悔しそうです。
知るって何ですか?何故知らなければならないのですか?何故「何故」って
考えなければならないのですか?





あんた、これから何処へ行くのかね。


知りません。着いた所が結果的行き先だと考えます。
(そう考えないと、自分が保てない。何処へ行くと決めたら、
そう動かなくてはならない。それが辛かった。決められたくない。
でも、決まりは誰が決めているんだ?そもそも決まりって何だ?)

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とっとと明日からの準備をなさい。酔っている場合じゃないぞ。
明日はまたやって来る。明日はどうするか、決めるのは自分だ。
それでいいだろう。淡々としなければならない仕事をこなすのだ。


おっさん、あんたはあの時俺に「何処へ行くのか」と聞いたな。
うん、あれからもう随分時が流れてしまったけれど、実はまだ
決まってないんだ。みっともない話でなんだけどさ。でもね、
悪い気はしないんだ。決まっていないって不安だけれども
素敵な事だって何となく解ってきたからね。そう考えたら
歳を喰うってのも悪くはないのかね。ああ、悪い気はしない。



明日もいい日にしてみせますよ。ではまたね。