1歳頃らしい

別段子供の頃に
戻りたいとは
思っていない。


僕は今の僕でいい。
無能な男ではあるが、
こんなご時世、一応
定職に就いて毎日
決まった時間に電車に乗り、決められた仕事を、しかし自分のペースで
させて貰えている。僕が高校生頃だったか、バブルなんて云われた時代に
今の僕の年齢だった方々が享受していたかもしれない恵まれた世界では
この国はすっかりなくなっているようだが、僕は今の仕事が好きだし、
月給は相変わらず低いけれども休みはしっかりと貰えているから特に
文句は無い。


別段子供の頃に戻りたいとは思っていない。僕は今の僕でいい。
でも1970年代の旧きフジカラー紙焼きの中で母に担がれていた
平穏無事且つ無防備な僕が、まさか21世紀のこんな混沌とした時代の
中でこんな仕事に就き、時代のイカレたサマと向き合わなくては
ならなくなるとは思ってもみなかった。いやまあそんなに別段
特殊技能も要らないし、普通の仕事っちゃ仕事なんですけれどもね。
でも世間一般で云う所の「普通」の範疇からはみ出してしまわれた
方々とそれなりに深く関わる仕事っちゃ仕事だな。


トイレットペーパーを出そうと押入れの中を覗いたら、奥の方に
アルバムがあった。関東人だった両親が、僕と姉を東京に連れて行った
1973年のひとコマを見つけた。僕がこんなおかしな人生を送って
しまっている事を、1973年の母に詫びた。


寝ます。明日もいい日にしてみせますよ。ではまたね。