1997年・沖縄航路にて

ヒマさえあれば
何処かへと行きたくなる。
お金はそんなに掛けられ
ないので、どうしても
遠くへは行けないが、
しかし行きたくて
たまらなくなる。


実際に何処かへ出掛けている最中よりも、今日みたいに何処にも
出掛けず部屋の中でぼんやりとしている時にまるで発作のように
出掛けたいと云う衝動が襲ってくる。僕の悪い癖なのだろう。
どうしても落ち着けないのはこの悪癖の所為であり、しかしそれ
だからこそ僕は自分を保っていられるらしい。社会人としては
実に恥ずかしい事なのかもしれないが。


きっと色んな事が欠落しているのだろうなとの実感があり、
それをそれとなく真剣に考えてみると結構気分が落ち込む。
所詮欠落している人間の考えなんて弱いものだ。


しかし、勝ち誇っているかのように見えた強そうな人間が、実は
案外寂しく、脆く、哀しいものなのかもしれないと知る機会があり、
結局とどのつまり人間なんて寂しさと劣等感のかたまりじゃないかと
少しばかり安心したかのように思い込もうとしてみたり。
所詮欠落している人間の考えなんてあさましいものだ。


欠落を埋め合わせたような気になれるのは旅に出ている間だけ。
きっとそんなものなのだろう。発作は、欠落を埋め合わせたいとの
誤魔化しか。いや、それだけではないとどうにかして信じたい所だが。


来週末は晴れるだろうか。またちいさく旅を紡げるだろうか。
落ち着きなく、欠落者はちいさく願うのである。歳月を貪りながら。


明日もいい日にしてみせますよ。ではまたね。頑張ろうぜ。