お別れを述べに

2006年12月19日撮影

先週ふとした拍子に
前事業所時代に担当
していたとある
利用者さんの事を
思い出したのだった。


なんて事はない内容だ。
今から5〜6年程前の事だ。
僕は2005年から既にこの
日記をつけていたが、
その利用者さんの事も実は何度か書いていた。


懐かしいな。介護保険外の自費サービス利用で百貨店にお連れしたり、
とあるパーティーにお連れしたりと当時から下町で働いていた僕と
しては異例とも云える内容を経験させて頂いたのだっけ。その当時
その方はまだ自立度も比較的高かった。当時は少ししんどいと感じ
たりもしていたが、今思い返すと気楽で面白かった。


ある時、その方は居室内にて転倒され、それが元となって寝たきりに
なってしまわれた。介護の内容は「少ししんどい」から「結構しんどい」
に変化して行った。しかしその頃になると僕もそれなりに仕事に
慣れていたのでじきに対応して行った。自由に外出される事は激減
したが、それでも時々車椅子でお出掛けされ、僕はそれに同行した。


そうやってまた更に数年が過ぎたが僕は退社し、その方とお別れした。
今はどうされているのだろうか?

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先日、自転車で町を移動していたら、この利用者さんを僕の後から
担当し、現在まで担当し続けている筈のヘルパーさんに本当に久々に
偶然出会った。


すると、そのヘルパーさんから利用者さんが先週亡くなられた事を
伝えられた。僕が「××さん、どうしてるかなあ」などとして
上記した内容を思い起こしていた日の事だったようだ。
ヘルパーさんが朝訪問すると、眠る様に亡くなられていたらしい。
かなりのご高齢だったから大往生と云えなくもないが、やはり
僕は衝撃を受けた。様々な思いが瞬時に胸中を駆けた。


僕の様な者でも、少し気に掛けて下さったのであろうか。最後の最後に
僕の記憶に登場され、お別れを述べられたのではないか。そんな風に
勝手に思ってみた。そして、そんな不思議な事も有り得るのだとも。
以前にも「お別れを述べて下さった」のだと思える経験をした事があった
ので、今回もそんな気がした。偶然が重なるにしてはタイミングが
良すぎた。このタイミングが無ければ、僕は知らないまま過ごして
いただろう。それは少し寂しい。


その方の住む町の方角に向かい、手を合わせた。僕はその方と関わった
事で、様々な事を学ばせて頂いた。そして、僕自身に起こったこの
何年かを振り返り、これからの事を考えてみたりした。


TOPの写真は5年前、その方のお宅を退室し、事業所へと戻る途中の
坂道から撮影した夕日だ。坂の途中から下町の向こうに沈む夕日を、
僕は何度眺めた事だろうか。


この訃報に接し、謹んで哀悼の意を表します。