ジェベルとの最後の旅



体育の日。空は晴れ渡った。
風も爽やか。清々しい光。


いつもの様に駐輪所へ。
バイクカバーを外し、
ジェベルを引っ張り出す。


燃料コックをオンに。
チョークレバーを引っ張る。
キーを差し込みメインスイッチを入れて、セルスターターを押す。


一発で起動。 もう随分長く聞きなれた単気筒の音。


いつもの様に走りだした。そして恐らくこれが最後になるのだろう。
事故に遭う事無く、僕を遠くへ連れて行ってくれた。僕の翼だった。
バイク雑誌で見て「これだ!!」と直感で選んだ。正解だった。


北海道の宗谷岬から、南の果ての石垣島まで、共に巡った。


まだまだ走れた。でも、今回も直感にやられてしまった。許せ。
最後の旅に、ちいさな旅に出た。 例によって、番外編日記に
その顛末を載せてます。良かったら見てね。


「ちいさな旅」



たかが機械だ。機械を擬人化して愛そうなんてみっともない事はする気は無い。
でも、使い込み、慣れ親しんだ道具でもある。そういった確かな道具に愛着を
感じて少しだけ感傷的になってみるのはいいのではないか。せめて手放す
その日まで。その日以降も引き摺るような無様はまっぴら御免だが。


明日からもまた仕事を頑張ろう。週末に旅に出続ける為に。


明日もいい日にしてみせますよ。ではまたね。