13年の想い

ジェベルと旅した日々を想う

昨夜書いた通り、ネットで
見つけた広告を出している
バイクショップを訪れ、
アフリカツインの実車
見せて貰った。


タンク周りに少しばかり
擦り傷があるが、大した
ものではなく、消耗品も
全て交換されていた。
状態は良さそうだ。実際にマシンに跨らせて貰った。思っていた通り
楽なポジションで、重い車体ながらも不安感は少なく感じた。ショップは
アフリカツイン始め、オフロードバイクの販売に力を入れており、
店長さんの説明も丁寧だった。見積もりを取って貰い、決めたらまた
電話しますと伝えてショップを後にした。


遠廻りして帰宅の途についた。ジェベルを走らせながら、僕はひたすら
考えていた。ついさっき見た大きなオートバイ。予算よりオーバーしては
いるけれども・・・  「買える」と。


急にどきどきして来た。オートバイに乗り始めてもう18年になる。その間、
ずっとオフロードバイクを乗り継いで来た。その中でも今乗っている
ジェベルは一番長い付き合い、13年になる。このジェベルで僕は日本を
一周し、2度の北海道放浪を行った。 もしもさっき見た大きなオートバイを
買う事になれば、僕はジェベルを手放す事になる。2台も所有するだけの
甲斐性は僕には無い。


走りながら、僕の記憶はまるで正に走馬灯の如く巡っていた。
幾つもの峠を越えた。幾つもの林道を駆け抜けた。遠い地平線に向かった。
嵐の中を突き抜けた。夜を徹して進んだ。共に星空の下で眠った・・・


この13年間は僕にとって紆余曲折の連続だった。いや、まだまだこれから先も
そうあるのかもしれないが、でも辛い20代だった。一時はオートバイに乗る気も
失せてしまった時期もあった。それどころではなかった。でも、オートバイを
下りる事は考えなかった。何時も、ジェベルはそばにあった。手放す事など
考えもしなかった。 相棒、だった。 その相棒を手放す事になるかもしれない。
13年と云う時の流れの様々な意味が、僕に静かに迫って来たみたいだった。
恥ずかしさもへったくれも考えず、敢えてこう書く。ジェベルは僕の青春の
象徴だった。たかがオートバイだ。笑いたければ笑って頂いても何ら構わない。


でも、僕は思っている。 今しかないと。今を逃すべきではないと。
今を逃せば、大排気量車は買えないと。そして、決意した。
つい先日までは考えてもみなかったが、僕は自らの直感を信じてみたい。


夕刻、ショップに電話を入れた。見積もりの提示額で、アフリカツインを
僕に売って貰いたい、と。 来週の土曜日、引き取りに行く、と。


明日、ジェベルでは最後になるかもしれないであろうツーリングに出るつもり。
そんなに遠くには行かない。ささやかに、ジェベルを労うつもり。


明日もいい日にしてみせますよ。ではまたね。