2003年・旧東海道徒歩旅


2003年11月27日(木)曇り。
旧東海道徒歩旅。
その16日目。


6:50起床。寒い曇り空。
此処は旧東海道鈴鹿峠
峠上は少し開けた場所と
なっており、東屋と、トイレと水道などあったりする。


昨夜は遅い時間に此処に辿り着き、懐中電灯の明かりを頼りに日記を
したためた。疲れていても日記を書く事だけは欠かさない。我ながら
妙な所でだけマメだと思う。日常生活全般に於いてこのマメさが発揮
されたならば、僕の人生はもう少し違ったものになっていたような気も
しないではないが、今更どないもなりまへん。


手持ちの食糧は昨夜で全て尽きた為、今朝は朝食抜きである。トイレで
洗顔・歯磨き・用便。今日もゆっくりと8時出発。
 


鈴鹿峠の真下は現在のR1である。こんな感じね。


少し下ればすぐに国道と合流。程無く県境だ。いよいよ「近江国
滋賀県へと入る。東海道は微妙にR1を外れるらしいのだが、
ガイドブックによるとトレースは非常に困難な状態であるとの事。
ルートがはっきりと残っていないみたい。国道をひたすら、緩やかに下る。


5km程下った辺りで道の駅「あいの土山」が現れる。「あいの土山雨が降る」と
馬子唄にあり、広重の「東海道五十三次」でも合羽を羽織った旅人達の姿が
描かれている様に、ここ土山は雨の多い土地柄であると思われていたらしい。
道の駅の建物の中に入ると、ストーブが赤々と燃えている。無料で飲める
暖かいお茶を頂きつつ暫し和む。
 

その後、R1の歩道橋を渡り、向かい側の田村神社を参拝する。昔々
鈴鹿峠には山賊が居たそうで、それを坂上田村麻呂が退治したと云う。
この神社はその田村麻呂を祀ったものなのだ。神社のそぐそばに
ファミリーマートがある。時間はまだ10時過ぎではあるが、今日は
朝食抜きなので早くも食事とする。カルビ丼とカップめん。携帯食と
して板チョコと、ピーナッツが入っているベビースターラーメンもどき
(なんじゃそれ?)。相変わらずよく食べる。徒歩旅は腹が減って
ばかりだものね。


食後、再び歩道橋を渡り、道の駅の横手の道へと入って行く。その道こそ
旧東海道であり、かつての旧「土山宿」の入り口に当たるのだそうだ。
旧「土山宿」の町並みは然程古くは無い。しかしやはり鄙びた風情があり、
のんびり歩きたくなる。さりげなさが良いのだ。



土山宿本陣跡 


宿場を出ると東海道は暫しR1に合流して進むが、やがて左に折れる。
人も車も極めて少ない快適ルートだ。
 

やがて旧国道に入り、更にその旧道へと進む。旧国道の更に旧道。
此処がメイン通りであったのは昭和20年代位までだったのかなあ?等と
考えつつ進む。
 

今郷という所で一旦旧国道に折れ、そこにあるローソンで食パン、
焼酎ワンカップ、カメラのフィルム等を購入。今日もどうなるか
判らないので、昨夜の二の舞とならぬ様、食糧確保にぬかりは無い。
 

程なくルートには東の見附跡が現れる。此処よりかつての「水口宿」となる。



「水口宿」の東の見附跡 住宅地のなかにポツンと在る


町並みは細い道が東西に何本か通っており、そのうち1本が東海道だ。



「水口宿」にて 三筋あるうちの真ん中の道が旧東海道


少し進むとバスターミナルに出る。ちょっとした時計台があり、丁度15時を
指した時、時計台の中の人形がタイコを叩き出した。割りに面白い。
良いタイミングで来たな。


一寸早いがその近くの自販機で発泡酒を購入する。えっ、ぬるくなるって?
否、そんなもん頓着しない。呑めりゃあええのです・・・


旧東海道はその後、近江鉄道本線の線路を渡り、商店街の中を進む。
やがてそれが途切れると、旧「水口宿」とはお別れ。田園地帯の中の
真っ直ぐなルートとなる。その道を4km弱歩くとR1に向かう道と小さな
橋を渡る道に分かれる。旧東海道はその小さな橋を渡る道へ。すると
間も無く、少し広い道路に出る。眼前には道中でも最大級を誇る
常夜灯が有り、その一帯は「横田の渡し公園」となっている。



「横田の渡し公園」にある道中最大級を誇る大常夜灯


此処は横田川(現在の野洲川)の渡し跡であるらしい。間も無く日没。
都合良く屋根付の休憩所が有るので、そこにシュラフを広げ、今夜の
野宿地とする。寒いが水道で洗髪。あ〜スッキリした。夕食はいつもの様に
食パンチーズサンドと昼と同じベビースターラーメンもどき。昨夜と違って
酒も有る。耳にしたラジオのNHKは、遂に大阪局が入って来る。



野洲川に夜が迫る 今日も無事暮れた


距離的に見て、明日の京都入りは不可。いや、夜遅くまで歩けば行けるが、
やはり明るい内に三条大橋に着きたい。何より帰りの電車の時間を気に
しなければならなくなる。まあ、ゴールは逃げやしない。落ち着いて
行こうじゃないか。それに、もしかしたらもうこんな徒歩旅なんて二度と
出来ないかもしれないのだ。のんびりを決め込もうぜ。
 

明日は、いよいよこの旅最後の夜となるだろう。旧「大津宿」、
東海道五十三次最後の宿場。そこを目指そう。琵琶湖を見ながら
これまでの旅を振り返りつつ酒を呑む。ウム、そうしよう。そして土曜日、
余裕を持って京都三条大橋へ、この旅の終わりの地へと辿り着く事としよう。
天気予報によると明日から雨になるらしい。最後まで気は抜けない。

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3ヶ月ぶりの旧東海道カテゴリでありまする。おお本当に久々だ。
漸く訪れた何にもしなくとも良い休日。少し手持無沙汰な休日。
随分時間を掛けてしまったこのカテゴリも、あと2回で京都着と
なったりする訳なのでありますな。


10月も本日でおしまい。色々な事があっと云う間に過ぎ去って
しまうんだね。


次に何かをしたくなるまで、少しだけ休ませてね。
そのうちまた見つけるからさ。きっとね。


明日もいい日にしてみせますよ。ではまたね。