露に濡れる


また雨だ。でも昨日よりは
マシか。大阪はもう
8月にならないと梅雨明け
しないみたいだ。


いや、もしかしたら
今年は梅雨明けしないん
じゃないか?そんな気も
しないでもない。


何時までも何時までも雨降りだ。今日も街は蒸している。もううんざり。

___________________


そう云えば随分前、そうだな、1993年の夏を思い出したぞ。あの年の夏、
僕は生れて初めてのオートバイでの長旅に出たのだったっけ。都合約
ひと月掛かりの旅だったんだ。冷夏でね。米が不作でタイ米を輸入して
どうたらこうたら・・・・タイ米でピラフを作って食べたっけ。あれ
結構いけたんだ。って、ちいと脱線か。


九州を廻っている間、ずっとずっと雨だった。宮崎の海岸で土砂降りの中
砂まみれになってテントを張り、疲れ果てていたのに眠れなかった夜を
思い出した。あん時はほんっとみじめだったなあ。カッパも役に立たず、
ずぶ濡れで寝転んだびしょびしょのテントの中。


今思い出してもあの気持ち悪く、無様でみじめな感覚は忘れられない。
どれだけ旅を止めて帰りたかったか。旅になど出てしまった自分を
呪ったか(ちと大袈裟か。でもその時はそう思っちゃったんだよね)。
雨音の烈しさすら覚えている。テントを突き破るかの如き凄まじい
勢いだ。食べるものも、飲むものも無い。ラジオでも聴こうかと
思ったが、濡れてしまい壊れていた。眠れない。猛烈な不安感。
あの感覚・・・


気がつくと朝だった。雨は止んでいた。ずぶ濡れの僕は、しかしどうにか
一夜を明かした。どうにか生きていた。まあそんなもんで死にゃあしないが。
でも「ああ、俺生きてた」って思ったんだ。空には少しだけど晴れ間が。
雨に振られずに撤収出来たのが、本当に嬉しかった。飲まず喰わずで
走り始め、その後立ち寄ったドライブインで買って口にしたおにぎりと
コーラが、もの凄く美味しかった。そんな事すらもつい昨日の事の様に
思い出せる。それはきっと、雨にこっ酷くやられた所為だ。どんなに
降り続く雨も、何時かは止む。そしてその後には青空が。


そんな体験を、何度も何度もして来た。この狭いらしい日本のあちこちで。
ああそうだ、雨は何時か止む。そして辛い日々も何時かは過ぎて行く。
まあ、うんざりする事はないさ。何時かは晴れる。きっと良くなるさ。

____________________


どうにか残業無しで帰宅です。早く帰宅すると、何だかこんな妙な思いに
取り付かれてしまいました。まあ、旅に出たいのだな僕は。あの時、散々な
思いをした癖に、旅が終わる頃には「また何処かに旅に出たい!」って
思っちゃったんだよね。すっかり懲りない男になってた。辛くてもみじめでも
旅に出たくなった。辛くてもみじめでも、雨は何時か止み、青空が広がるのだ。
ちゃんと報われる。それが解れば、もう怖いものは無い。だから、また旅に出た。


人生なんて無常なもんさ。でも、何時かは、時々は晴れる事もあるかもね。
おお、ひゅーひゅーかっこいい。んでもって例によって似合わねえ。


明日もいい日にしてみせますよ。ではまたね。ちょっと酔ったかなあ・・・