2003年・旧東海道徒歩旅



2003年11月26日(木)晴


旧東海道徒歩旅。
その15日目。

 
5:30起床。青空爽やか。
食パンチーズサンドの朝食。
日の出の写真を撮ろうと暫し待つ。しかし予想していた方角とは
違っておりがっかり。その為出発はやや遅くなり7:40。東京日本橋
発って今日で丸2週間だ。


何時もの如くR1は右に左にと折れつつ次の「庄野宿」へと至る。
通学の学生達のお陰でささやかな宿場町は何とも賑やかだ。しかし
小さな集落で、すぐに通過してしまう。


旧「庄野宿」の朝。佇むのらちゃん。



「庄野宿」から次の「亀山宿」へは国道を離れ、穏やかな田園風景の
中をノンビリと進む。昨日の慌しさが嘘の様だ。やはり街道旅は
こうでなくっちゃ。


「亀山宿」に入る手前辺りでミスコースして県道に入ってしまう。気付いて
途中から市街地に向かう坂道へ。上り切ると商店街。ここが「亀山宿」の
中心部であった様で、各店の前には江戸時代の屋号を記した看板が
掲げられている。近年調べて取り付けたものらしい。しかし此処も
何だか全体的に寂しい感じ。およそ人気無し。


ふと左手を見ると、高台にあるこの宿場より下方にある現在の町の中心部に
ファーストフード店や大型スーパーが窺える。現在では「亀山宿」の中心部は
JRの駅のある高台の下の平地に移ってしまっている様だ。



その中心部へと降りて来て、ローソンで昼食の買物。相変わらず腹が減って
仕方ない。カップめんとおにぎり2ヶ。そしてフライドポテト。よくもまあ
毎日毎日似た様なメニューで飽きないものだ、と我ながら感心してしまう。
高台に戻り東海道を行く。それにしても今日のルートは穏やかだ。
天気も良いし、気分も良い。国道から離れているのでノンビリ進む事が
出来る。



旧「亀山宿」のはずれ。穏やかな田園風景。



鈴鹿川に沿って。



やがてR1に合流し、歩道橋で反対側に渡り、少し歩くとそこがかつての
「関宿」の入口だ。



「関宿」は町ぐるみで歴史景観保存の努力が続けられているとの事で、
電柱も無いしオシャレな建築物も無いし、成る程まるでタイムスリップ
したかの様な町並みになっている。ここまで景観に配慮している宿場町は
東海道でも此処が一番だと思うし、実際抽んでている。しかし残念な事に
矢鱈滅多ら車が入り込んで来ている。これではブチ壊しである。
これさえ無ければ最高なのに。



旧「関宿」へと進む。



電柱が全く無い。


「関まちなみ資料館」と「旅籠玉屋歴史資料館」は300円の共通券で
それぞれ見学する事が出来る。貴重な展示品多く、雰囲気も抜群。
これで300円なのだから大層得した気分だ。旅籠資料館の中では、
すっかり昔の旅人の気分になれてしまう。町の人々の意気込みに
感服した次第である。来て良かったな。



関まちなみ資料館にて。


しかし・・・突然現実に引き戻された様な大渋滞のR1が待っていた。


(その後ラジオで知ったが、西名阪が通行止になっていたらしく、
他に通る道も無いのでR1や「関宿」の中でさえも車で溢れていた訳が
理解出来た次第。やれやれ・・・)


細かく旧道に折れつつ、R1に近づきつつ、東海道は進む。やがてかつての
「坂下宿」へと至る。宿場の中は2車線の広い道路が通りながら、
信じられない程ひっそりとしている。家々には人の存在が希薄であり、
商店も酒屋も無いので、食料調達すらままならない。今まで宿場町といえば、
どんな小さな所でも酒屋くらいあったものなのだが・・・


再びR1に出ると、すぐ右手に「旧鈴鹿峠」を指す看板が。何とも細い山道に
なっている。国道を尻目(?)に、真っ暗な旧道をマグライト
明かりのみをたよりに不安いっぱいで進む。だっていきなり登山道なのだよ!


急坂に息が上がる。でもこれで鈴鹿峠に至るのか、と思いきや、さにあらず。
旧道は一旦R1に合流しつつ更に上る。更に不安増す。何とか平静を保つべく
意識を集中させて坦々と上れば、やがて思いの他早くひらけた峠へと至る。


鈴鹿峠伊勢国近江国、つまり三重県滋賀県の国境だ。
峠には休憩所があり、トイレも水道もあって助かる。食パンチーズサンドと
おやつの残りの麦チョコにて夕食。最悪な事に手持ちの食料はこれで
全て無くなる。明日は朝食抜きである。


しかし今夜も野宿地が見つかった訳だから、やはり僕はラッキーだ。
鈴鹿峠はかつて東海道最後の難所だった筈。山賊も居たって聞くし。嗚呼、
そいつを越えたのか。すぐ眼下にはR1のトンネルがある。現代ではクルマは
そのトンネルをわずか1分強で越えるらしい。


クルマの流れを見下ろしていると、何だか何処からともなく声が聞こえてくる。


「無駄なんだよ!くだらねえんだよ!お前のやってる事なんてな!!」


クルマの流れを見下ろしていると、何だか何処からともなく声が聞こえてくる。


「止まらず進み、更に生きよ。お前にはまだまだ成すべき事が山積しているのだ」


聞こえたんだ、本当にね。嘘じゃあないよ。いや、ただ疲れて
いただけなのかな?でもね、もし聞こえたとしたらだ、どちらの声を
信ずるべきなんだろうか?どちらの声を・・・って、うわ、何かっこ
つけてんだ俺は? もう眠い・・・

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久々の旅話です。僕は「今」の旅話がしたいのだけれども、現状では
なかなかそうも行きません。想い出に触れる事で、僕の精神は遥か
遠い地に飛んでゆくのです。嗚呼哀しや。でも、少し嬉しや。東海道
カテゴリもあと数回で終わりそうですが、しかし次回の更新は何時になる
事やら? おそらくケアマネ試験が終わる10月末以降になるかなあ?


何処にも出掛けず、せこせこと社内研修会の資料なんざ作ってました。
とは云えこのずぼらな僕の事、ネットからの拾いもののかき集めだったりします。


6年近く前、鈴鹿峠で何処からともなく聞こえた声。僕は、今どちらの声に
従って生きているのだろうか。くだらないと思って生きているのか、
それとも山積するらしい成すべき事に向かうべく、進んでいるのか。どっちだ?


明日もいい日にしてみせますよ。ではまたね。