2003年・旧東海道徒歩旅



2003年11月22日(土)晴
旧東海道徒歩旅。
その11日目。


朝寝坊の7時起床。
風が強い。昨夜からの
野宿地は愛知県豊橋市
外れ、かつての旧「二川宿」
そのまた外れにある山上の「岩屋緑地公園」。


空はすっかり明るくなっている。食パンにスライスチーズを挟んだものと、先日
おまわりさんに貰った最後のミカンで朝食。食後、洗顔、歯磨き、用便。仕度を
終えた後、近くにある展望台に登ってみる。昨日やって来た道程が見渡せる。



地平線が遥かに。



彼方に見えるのは遠州灘か。


なんて素晴らしいのだろう。そうか、昨夜この展望台から見た夜景といい、
沢木耕太郎の「深夜特急」風に言えば「旅の神様」はこれを僕に見せる為に
こんな山の上まで連れて来てくれたのだな・・・等と考えてしまう。
ゆっくりと8:15出発。


昨日とは違うルートで山を下ったが、登って来た所と大体同じ場所に
下りて来た。旧東海道に戻り、火打坂なる坂道を行くが、(ハイ、毎度
御馴染みの)何処でどう間違ったのかとんでもなくミスコースしてしまう。
又も無駄足かいな。ガイドブック以外に地図を持っていないので訳の分からぬ
道に出てしまうとやはり心細くなる。


どうにか旧東海道に復帰し、1km程旧国道を進んだ後R1に合流する。


それにしても風が強い。向かい風は体力を急速に奪う。これは辛く、
なかなか先へ進めない。疲れたし、岩屋緑地公園のトイレの水道で
ペットボトルに詰めた水は滅法不味いしで、10時過ぎの休憩では自販機で
暖かい缶ココアを買う。ホッと一息。



やがてルートはR1を離れ、豊橋市の中心部をやや外れた所を行く。その辺りが
かつての旧「吉田宿」。ややミスコースするも、あちらこちらに「東海道」の
標識が有り(TOPの写真がそれだ)、分かり易い。「東海道」 この文字に
導かれる様にして、僕は此処までやって来た。そして今日も西を目指している。



豊橋の地名の由来であると言われる豊川に架かる「豊橋」を渡り、
かつての宿場を離れる。



橋の上では暴力的なまでの強風にやられる。ますます疲労が蓄積される。
旧東海道はいつものパターンで暫くR1と並行する。昼近くになるのでR1に
出てコンビニでも探すか等と考えていると、横須賀町という所でサークルK
発見。タイミングが良い。ここまでですっかりのびていたので、今日もリッチ(?)
にいこう。ミニ天丼とスガキヤカップ味噌煮込みうどん。う〜む、いよいよ
名古屋は近いぞ!! そして2ヶで100円だというのでシュークリームとエクレア。
食パンを買おうと思ったが少々高かったので、マーガリンとジャムが一緒に
入ったロールパン。そして1リットル98円のお茶を購入。エクレアをデザートに、
シュークリームはおやつに廻す。



やがて旧「御油宿」へ。細い道に古い家並みがびっしり続いている。
この辺りは戦災を免れ、鉄道や道路の建設からも外れた為、昔の面影が
かなり残されている。往時は100軒もの旅籠が有り、遊女も沢山居た
賑やかな宿場だったそうだが、現在では有る意味当然の事ながら
ひっそりとした場所になっている。



この辺りでは日帰り東海道宿場巡りツアーと見られる団体2組がそれぞれ
歩いていた。宿を出ると松並木が600m程続く。いずれも樹齢300年以上のもの
だそうで実に立派なものだ。



御油の松並木」として知られ、「東海道中膝栗毛」の中で弥次喜多コンビが
狐に化かされる話があるそうだが、そこに出て来る松並木は此処が舞台と
なっているらしい。旧東海道を旅しているのに「膝栗毛」をきちんと
読んだ事が無い。いずれ読もう。



松並木を抜ければ程無くかつての旧「赤坂宿」。随分宿場間が短い。宿場間は
僅かに1.7km程らしい。道沿いには伊藤本陣跡の隣にこの東海道中に於いて
唯一江戸時代から営業を続けている旅籠「大橋屋」がある。有名な旅籠
らしいので色々と紹介されているが、「プチたび」というサイトからリンクを・・・



赤坂宿




風情たっぷり。いいなあ〜。でもこの写真の撮り方はまずかったか。
横から見ると風情があんまり・・・・でも正面から見ると素晴らしいし、
中は更に素晴らしい(らしい。入ってみたかった)。こんな宿に泊まって
みるのも良いが、まだ時間が早すぎた。因みに予約制で1泊2食付きで1万円
(2003年11月現在。)。しかも泊まれるのは1日1組のみ!1泊1万円は高い気が
するものの、そういう事なら、また話は変わってくる。儲けよりも風情を
大切にしている証拠であろう。いいねえ。



そして今日も日が暮れる。風は尚も吹き付け、しかも一気に気温が
下がって来る。益々辛い。気分を沈ませつつR1を進む。暫くすると
ルートは左に折れ、間の宿(宿場間にある、宿泊施設が基本的に無い、
休憩のみの役割の為に置かれた町場)と思われる「本宿」という所に
入って行く。どう考えても無さそうな、極めて鄙びたローカルな雰囲気
にもかかわらず、CoCoストアがひっそりとあった。酒とスナック菓子、
そして寒さしのぎに暖かい缶コーヒーとピザまんを買う。店の人に
促されてスピードくじをひいたら、冷たいレモン飲料と、更に冷たい
アイスが当たる。流石にアイスは持って行けないし、この寒空の下
食う気にもならないしでアイスのみ辞退する。



まだまだ次の旧「藤川宿」までは距離が有る。野宿地がなかなか
見つからず不安になるが、突然国道脇に、神社へと上って行く階段が
現れる。上ってみるとそこはとても小さな小さな神社で、水場無く
洗顔等出来無いものの、もうこれ以上先へ進む気にもなれないので、
此処を今日の野宿地に決定する。とても寒いのでシュラフに下半身を
突っ込んで夕食。と言ってもコイケヤスコーンとイカフライスナックのみ。


ラジオの天気予報によるとこの強風は朝まで続き、最低気温は4℃まで
下がるらしい。こりゃ辛いな・・・冷たい強風に悩まされた、パッと
しない1日になってしまった。京都まではまだまだ遠いねぇ・・・
でも負けないぞ!

_____________________


「でも負けないぞ」 と当時の日記に書いた丁度5年前の俺、褒めて遣わす。
流石にもうこんな辛い旅したいとは思わ・・・・いや、案外そうでも
ないのですよ。中山道とか奥州街道とか四国88箇所巡りのお遍路さんとか、
やってみたいかも。


しかし如何せん近年は余裕が無い。全てに於いて。これから益々
無くなるんだろな。はぁぁぁぁ。


久々の土日休み。ずっとぐだぐだしてました。今日の今日こそは
愛車ジェベルの整備をし、自賠責保険を掛け直す準備などしたいと
思っていたのに、何にもせずに終わってしまった。体調も完璧では無く、
今朝もパブロン服んでしまったし。


5年前、人生をやり直そうと思い(ちと大袈裟か)、そのスタートの記念と
するべく始めたこの旧東海道徒歩旅。来る日も来る日も西を目指して歩いた
旅だったか。あの頃は西を目指していたが、あれから5年経った僕は何処を
目指しているのか。きちんと歩けているのか。頑張れているのか。どうだい? 
と、暫し自問自答。


余裕が無いな、最近。でも、気持ちだけはどうにか前を向けているみたいだ。
それだけが救いかもな。周りにどの様に思われようが、何と云われようが、
歩くしか無いよな、結局の所。


明日からもまた西成で頑張ろうぜ。それしかねえもん。
明日もいい日にしてみせますよ。ではまた・・・