働く母

間もなくイチョウも・・・

母が働き始めた。


社会保険事務所での
年金に関する書類の
チェックか何かを
するらしい。


専業主婦となって
早5年近く。


外で働かなくなって久しい母だったが、やはり気持ちとしてはまだまだ
働きたかったらしい。色々と仕事を探していたが、何せ歳だ。なかなか
これは! という仕事は見つからなかったようだ。それに母は脚の手術を
今から2年前にしており、長時間の立ち仕事は出来ない。掃除婦等の仕事なら
そこそこあるらしいが、そんな具合だからちょっと難しい。


しかし先月だったか、面接を受けに行くと云って、いそいそと出掛けて行った。
「きちんとした仕事なのよぉ!」と云う母に、「しんどいんじゃないの?
無理して働かなくてもさぁ・・・」と僕。僕は大層な怠け者だからして、
もしも働かなくてもいいのならば、働きたくない。しんどいぜ。
面接には受かったらしい。事務仕事を長年やって来た経歴を買われたとか。
そんなもんなのかねえ。


母は本当に嬉しそうだ。やる気満々だ。今日は初出勤。一先ず3か月は仕事を
する契約になっているらしい。


今朝、僕よりも早く出掛けて行った。きちっとした格好をして、髪型も
整えた。メガネなんかロッテンマイヤーさんがしてたようなヒモがついた奴だ
ロッテンマイヤーさんで解る方なら解る、かな?)。割にサマになっている
じゃあないか。どっかの学校の教頭先生みたいじゃあないか。


夜、帰宅してから母にどうだったかと訊ねると、ニコニコして答えた。
働ける事が、本当に嬉しいらしい。周りの人々も親切で、これなら
どうにか頑張れそうだ、とも。少々心配していたが、それなら、まあ・・・
朝9時から17時まで。残業無し。土日祝休みだとの事。それなら、まあ・・・


「働ける事って、ほんとにいいわねぇ」だと。

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イチョウが色づき始めた。イチョウを見ている僕はやや体調を崩した。
公園のベンチで15分間のびていた。持参のパブロンを、栄養ドリンクで
流し込んだ。月末からのちいとした無理が祟ったのかもしれなかった。


働く事は、いいのだな。そうだよな、自分が求められているのだから。
生活保護を受けている人々、しかもその上に、介護を受けている人々を
相手にしている僕は、母の言葉に何かしら考えさせられてしまった。


のびている場合じゃないか。何かと神経すり減らしてしんどいけれどもな。


寝ます。明日までに体調不良を治しておくこと。
明日もいい日にしてみせますよ。おやすみなさいませ。