滅裂与え給へ

匂い立つ金木犀

終日曇り空だった。
動き廻ると、少々
蒸し暑い。


何となく余裕が無い。
いつも無いが、ここの
所は更に無い。


尤も、余裕の有る人生
なんて、この先ついぞ
送る事など無いのであろうが。どうかな。


緒形拳が亡くなったとのニュースを観て、この方は余裕を持って
生きていたのであろうか、とふと考えてしまう。


思うに、彼は一切の余裕を持つ事を敢えて避けていたのではないか。
年齢はもっと若かったが、松田優作が亡くなった時にも、同じような
事を考えたっけか。いや、かなり強引な考え方だとは承知の上で書くが。


自らの生命が残り僅かなのであるというどうしようもない
現実を前に、静かに、しかし形振り構わずに。そこには最早
余裕など要らない、のかな? 余裕の無さこそが、常にのめり
込む事こそが、しかし何処かでごく微妙な距離を置く事こそが、
最後の証を刻むのか?生きたという証、の、ようなもの。
そこに居た証、らしきもの。


果たして、そんな生きた有り様は、凡人たる、市井の民たる僕に
暫しの問いかけのような、謎かけのような、後悔のような、
韜晦のような、瞬時の希望のような、いや、もう考え出すと
神経症一歩手前にまでなってしまうのではと無駄な思考に陥って
しまいかねないかもしれぬお笑い種のような、清清しいまでの
滅裂を与え給うのです。


滅裂を加速させよう。酔うのだ。
でも、明日も早いからして、程ほどにしなければならない。


そんな僕は、敢えて余裕を捨て去るような道の極めはきっと
叶わぬ。結局、不安定な余裕の模造品を姑息に手に入れて
嗚呼有難いねぇ・・・とのたまうに始終するのみ。だろう。

_______________


酔った訳です。しかし襲い来る明日は待ってはくれぬ訳です。
なのに酔ってしまって支離滅裂な体たらくでありますのです。
眠い・・・・・・・


明日もいい日にしてみせますよ。ではもうおやすみなさい・・・・