2003年・旧東海道徒歩旅



2003年11月12日。
旧東海道徒歩旅、
その初日。


朝6時50分、日本橋
起点を出発する。


「お江戸日本橋七つ立ち」


旅人たる僕を乗せたJR夜行バス「ドリーム2号」は定刻よりも早い
5:50頃、東京は八重洲口バスターミナルに到着した。持参の気温計は12℃、
ややズシリとくるザックを背負い、やや迷いつつも東海道五十三次の起点
日本橋へ。まだ人通りはまばらだ。周囲をぐるりと見廻す。何とも殺風景な
場所じゃあないか。此処より京都三条大橋まで492.1km!!
果たして僕は自力の脚力のみで辿りつけるのであろうか?


江戸時代の旅人達は七つ(午前4時頃)には日本橋を出発していたというが、
僕はもう少し遅くズルズルと歩き始めた。日本橋界隈は風情もへたくれも
無かったが、しかし空いているので気分良く歩く。間も無く銀座へ。
此処へ来て、そろそろスーツ姿のビジネスマンやOLさん達が目に付き
始める。自意識過剰なのか何なのか妙に照れるが、その必要は無い。
どでかいザックを背負った僕なんざ、だあれも見ていない。
都会人ならではの無機質さ(?)。しかしその方が気楽だわな。
でも、僕だったら「もしかして東海道を歩くんですかぁ!!!」って
訊いちゃうかもしれんぜよ。好奇心剥き出しで。ははは。


吉野屋で朝食。並、卵、味噌汁。先は長い。しっかり腹ごしらえだ。


スタートから3番目の宿場、神奈川宿までは基本的にR15に沿っているようだ。
国道沿いに歩く為、今ひとつ気分が乗らない。東海道最初の宿場、品川宿
界隈に至り、漸く風景が変わり出し、街道沿いの風情が見受けられ始める。
JR品川駅手前の泉岳寺には、赤穂四十七士の墓があるし、旧品川宿
中心部であった商店街沿いには、電柱にこんな表記を見つけた。



こういうの、なんかいいよね。


品川宿を出ると、周辺から高層ビル群が減る事もあり、大都会を
離れて行くのだ、という実感が少しずつ沸いて来る。


小さなドブ川に架かる、小さな浜川橋は、通称「涙橋」と呼ばれていた。
この道の先には、かつて鈴ヶ森刑場があり、この橋は刑場へと向かう
罪人と肉親との別れの場になっていたとの事。初日から東海道
歴史に触れる。深いぞ、この旅はきっと。


多摩川を渡り、神奈川県川崎市へ。この街では実は数ヶ月間暮らした事が
あり、馴染みがあった。懐かしい再訪だ。しかし旧東海道のルートを
間違え(この旅では、ミスコースばかりしてました・・・)有名な
ソープ街の中を通ってしまう。まだ午前中なのにポン引きの兄ちゃんが
声を掛けて来る。悪ぃ、今回は(も、か。)あんまし予算ねえんだわ。
なにぶん俺って無職だし。


京浜急行八丁畷駅を過ぎ、JR鶴見線のガードを過ぎると、80件程の
魚河岸が並ぶ「魚河岸通り」を行く。時間が遅い為、ひっそりかん。
早朝に来ればさぞや賑わいを見せているのであろう。


早くも脚が痛んで来た。運動不足なのにいきなり歩き過ぎたものだからして。
何度も何度も休憩を取りつつ、日の暮れたR15を歩き、第3の宿場
神奈川宿」へ。やや道に迷いつつも京急神奈川駅に到着。旧街道は
この駅前を通っているのだ。


駅前にある「さくら旅館」という素泊り4500円のボロい旅館に投宿。
初日だし、脚は痛いし、市街地だから野宿は出来ないし・・・・と
何だかんだと理由を付けて、予約無しの飛び込みで泊まる事と相成った。
気の良さそうなオバチャンばかりで営んでいた。通されたのは2人部屋。
ボロッちくてショボイけど、広いから少しだけ得した気分かも。
でも、すきま風がひゅんひゅん入り込む寒い部屋だった。寒い・・・


近くのコンビニでハンバーグ弁当と発泡酒を買い込み、夕飯とする。
安アパートの様な佇まいの駅前旅館の寒い部屋。これが旧東海道
旅の最初の宿泊地か。俺にぴったりだわ。でも、この先も宿を取り
続ける訳にはいかないな。ちゃんと野宿は出来るのかいな。
東海道は何処も市街地を行くみたいだし。これじゃあ金が幾ら
あっても足りんぞ。


あー、成り行き任せで、またしても変な旅始めちまったよぉ・・・・


でも、歩き始めたのだ。突き詰めてみたい。京都まで。

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うわ、一気に書けた。書けない僕にしちゃあ珍しい。この旅については
最も記憶に新しいし、いろいろと資料(?)を残してあるので、一旦
書こうと決めれば幾らでも書けるのかもしれません。旧東海道の旅は
本当に面白かったし。気が向いたら、また載せます。


本日は写真撮れず。大阪は日暮れに雨が降り出しました。
梅雨真っ盛り。あれから5年後の僕は、諸問題抱えつつも
どうにかこうにか平和にやっております。


でも、あの頃はこんな感じの生き方を選ぶとは思いもしなんだなぁ。
でも、この頃はこんな感じの生き方も良いなと思いもするんだなぁ。


寝ます。明日もいい日にしてみせますよ。おやすみなさいませ。