不信者だった

朝の空

秋のような空だ。
しかし蒸し暑い朝だ。
台風の空気が流れ
込んできた為らしい。


以前勤めていた
車椅子修理会社へ。


第20回介護福祉士
国家試験を受験する
為には、その会社での在職証明が必要なのだと、これまで何度も書いてきた。
それはその会社をいい加減な態度で辞めてしまった阿呆な僕にとっては、
結構な懸念事項となってしまっていた。結構ひどい会社だったが、僕も
ひどい社員だった。ひどい会社でも、頑張る良い社員でいるべきだったのだ。
投げ遣りな事はしてはいけなかったのだ。


国家試験は、毎年1回、1月の最終日曜日に行われる。
試験日までに受験資格である「3年以上在職で540日以上の実働」という
内容を満たすには、現在所属している事業所での在職証明だけでは、
僅かに2ヶ月足りない。その2ヶ月が足りないだけで、僕はもうあと1年も
試験を受けられず、2級ヘルパー資格からステップアップ出来ないままで
暮らさねばならなくなってしまうのだ。だから在職証明を貰えなければ
この春からじわじわとやって来た受験体制が、すべて無駄になってしまう。

_______________


「御免下さい・・・」 


「はい・・・あららー!!!」


当時勤めていた事務員さんは、まだいた。良かった話が早い。
アポを取らず突然訪問した非礼を深く詫び、その趣旨を説明する。
事前に用意しておいた、本高砂屋のエコルセなんぞをどうぞと手渡す。


「介護のお仕事続けてらしたんですね。すごい、国家試験受けるんですね!」


「はい、どうにかこうにか続けておりました。その節は何かと
 お世話になりまして・・・」


社長さんは居らず。話がしたかったが、こればかりはやむを得ない。
事務員さんは証明書作成を快諾してくれた。すぐの作成は無理なので、
事前に用意しておいた返信用の切手を貼った封筒と、書類をお預けして
頭を下げて。 


「解りました、早急に書いてお送りしますね、頑張ってくださいね」

_____________________


またうたた寝しちまった。間も無く日が変わるがな。
ああ、僕は何処かで人間不信気味な状態に陥ってはいなかったか。
そんなにひどい人間はいないのに。良くない事ばかり想起しては
いなかったか・・・


頑張ります。絶対に試験に受かります。
明日もいい日にしてみせますよ。


ありがとう。懸念事項は、どうやら消せそうです。
真面目に、そう真面目に生きなきゃね。信頼して貰えるように。