孤絶市

夕暮れ

下町の19時過ぎ。
日が長いなあ。


暑かった。汗かいた。


僕は、まだ旅をしている。
留まっちゃ駄目だ。
ジジイになるまで。




夕暮れ。蚊取り線香のにおいが早くも。きょう初めて蚊に刺された。
今年の夏も暑くなるらしい。


僕は、まだ旅をしている。
決め付けちゃ駄目だ。
不安なまま行くのだ。


夕暮れ。僕は人と関わりたくない。覗き込まれたくない。
しかし潰れそうな人間とは何故か密に関わっている。


あなたも、これから旅をするのか。
いい事だ。どうぞ善き日々を。
くんずほぐれつでも続けなきゃ。


夕暮れ。些細な事が溢れ出したら、そこそこである事の仕合せに気づく。
巡り合わせでしかないと、ゆめゆめ思う無かれ。


あなたも、これから旅をするのか。
手を振って。見送って。
聖なるかな


夕暮れ。酩酊して。
十年前の僕と対話す。


しがなくも、実は誇り高き。僕は其処へ、どうにか。
あの頃の僕のお陰か。


夕暮れ。愚なれど、尚在り。尚、由。


悩む。しかしそれこそが私の沽券。愚かしいと笑え。

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明日もいい日にしてみせますよ。
意味なんか無い。要らない。なのに拘るこの愚かしさ。
何処へ行きたいのか。