陰鬱な夢うつつ

下町夕景

片脚の男が何事か叫んだ。
ボロを纏い、念仏を
唱える男がやって来た。


金髪のカツラをつけた
ビデオ売りの男。
勇ましい軍歌を面白く
春歌に替えて笑う男。


男達がやって来て、迫る。
何処からか続々と来て、迫り、やんやと笑い、ある時怒鳴る。
「こわせ!」


阪堺電気軌道南霞町駅に火が放たれた。男達がさらに迫る。
「余所者のくせに知りすぎるな、目ぇつけられるで」
「うるさい、何が悪い」「持ってるモノを全部ぶちまけろ、
あいつらにぶつける石なんかあらへん、カバンの中をぶちまけて、
そいつを投げろや」 「うるさい、公安の監視カメラがどうだって
俺が知るか!うるさい!あんたらうるさい!」

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意味不明だ。


疲れているのだろうかいな? 奇妙な夢を見た。目を覚まし、布団に
入ったままテレビをつけた朝6時半。夢うつつ判別つかず、非常に苦しかった。
ああこれは夢だったかと解ったのは、「おはよう日本」の、お天気の
橋詰さんが画面に現れた頃。ああ夢だった、ほっとした。寝汗かいた。
本当にきつい朝だった。意味不明な夢、最近よく見ます。余談だが、
阪堺電気軌道南霞町駅に火が放たれたのは、1990年の西成暴動の際に
実際に起きた出来事だったりします。


昨夜の日記はなんなのさ。あれは書きながら朦朧としていたのだ。
無駄にキーボードをカタカタやっていたのだ。朦朧としていた。
大した事は何にもしていないのに、神経だけは無駄に使っていたのか。
なさけないねえ・・・

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朝の空気を吸い、電車に乗り、いつものように本を読む。しかし
今朝の妙な夢の事ばかり考えてしまう。妙な夢は、おそらく
今読んでいる中上健次の作品の影響があるのかもしれない。
その作品群は、あまりにも陰鬱なのだ。救いようが無いのだ。
でも、何故かクセになりそうなのだ。もっともっと読んでみたく
なってしまいそうなのだ。社会の最底辺で、まるで仕方が無いかの
ように、虫けらのように生きる人間の在り様は、重い。でも
その重さ、読後感の悪さ。今の僕にはしっくり来ます。
「19歳の地図」は、「17歳の地図」みたいなかっこいい世界とは
およそかけ離れておりました。

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片脚の男、念仏の男、ビデオ売りの男、春歌の男。
これらは、実はすべて僕が見た実在の連中なのです。そいつらが
夢に現れた。揃いも揃って現れた。疲れてるのかしら、僕は。
でもまだまだ頑張れ、どうにかこうにか頑張んなさい。まだまだ、
これからだぞ、本番は。


少し年下のヘルパーさんが、間も無く退職する。海外へ旅立つらしい。
彼には面白い本を貰ったし、面白い話も聞かせて貰った。仕事の
上でも、何かと意見して貰っていた。明日の夜、送別会があるらしい。
一応、出席する。ちとだるいけど。


明日もいい日にしてみせますよ。では。