いらいら
どうにもいけない。いらいらしていた。
狭い路地にも関わらず矢鱈滅多ら
ぶっ飛ばして来た軽自動車に自転車ごと
轢かれそうになる（いやほんとに）。
「このばかやろう！」と叫んだら、運転してた
営業マン風はやおら睨みつけてきた。今にもクルマから
降りてくるかのような勢いだ。上等じゃねえか！悪いのは
手前ェだ。相手してやろうじゃねえかあっ！かかってこいやあ！！！
んな訳ありません。喧嘩はいけません。言い逃げしました。
だって殴られたら痛いもん。僕はどうせヘタレだもん。
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急いでおるのです。ぐうたらなように見えますが、いや実際ぐうたら
ではありますが、時には結構忙しかったりもするのです。それなのに
ああそれなのに、前方には横一列になってだらだら歩く男子高校生の群れが。
急いでおりますのでベルをチリチリチリチリこれでもかと鳴らすのですが、
連中、退かないのです。つーか、そもそも振り向きもしやがらないのです。
隙間が少し。ええいままよとばかりに突っ込む。そして抜け切れずに
ひとりに接触・・・・・チャリこける。
「手前ェら歩道で横一列になってだらだら歩いてんじゃねえ！！
俺は急いでんだ、どけどけどけ・・・」
んな訳ありません。喧嘩しても多勢に無勢です。それに・・・
彼らから逆に「ああー、どーもすんませーん」との声が。
こっちこそすんません突っ込んで。大人気なくてすんません。
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帰ったら地元の駅前スーパーで買い物をしようと思っていたのだが、
財布は空っぽ。釜ヶ埼がすぐそばの、ある郵便局でお金を下ろす。
やっぱり時間がないのでほんとに早く済ませたい。ATMに並ぶ。運良く
次は僕の番だ。そこへだ、労務者風の汚い（小汚い、じゃなくて、汚い）
オッサンが割り込んで来た。さりげなーく割り込んできた。オッサン、
これが炊き出しの列だったなら、ひと悶着あっちゃいそうな割り込み方だぞ
オッサン。ずばり許せん！「おい、あんたちゃんと並びなよ」と言って
睨みつける。文句あんなら相手してやろうじゃ・・・
んな訳ありません。如何にも気の弱そうなオッサンだから睨んだんです。
オッサン、「あああ・・・」と小さく呟いて、すごすご並び直しました。
そんな弱そうなオッサンを睨み付けた自分が嫌いだ。後味悪かった。
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いらいらしていた。そこまで焦る事無かったのであるが。
営業マンもきっと急いでいたのであろう。仕事に追われ、
大層いらいらしていたのであろう。
高校生の一団は、おしゃべりに夢中で周りに目が行かなかった
だけなのであろう。おしゃべりするの、愉しいもんね。
労務者風の汚いオッサンも、もしかしたら疲れきってて
ボーッとしてたのであろう。釜ヶ埼の労務者の朝は
異常なまでに早いもんね。
ひと呼吸置かねば。深呼吸せねば。まだまだ先は長い。
みんな、いろいろ事情があるのだ、きっと。
明日もいい日にしてみせますよ。こんな時こそいい日を目指せ。
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