アル中美女

元気になったみたい

「ひとりきりでおったら、きっともう
駄目やったけど、ここに来てる皆も
頑張ってるから、あたしもほんまに
頑張らなあかんって思うねん。だから
ここに来てんねん」


某女性が漏らした言葉。彼女はアルコール依存症
かなりの美貌の持ち主だったりする。
とあるクリニックにて。どうしようもなさそうなオッサン達が、
彼女にそれとなく言い寄っている。いやらしい、女性にずけずけ
歳聞くなよ。住所まで聞くなよ、彼氏いるのかとか聞いてやるなよ。
アホかお前ら!近づくな、彼女困ってるじゃねえか!


「好きな人なんてつくりたくない」
あなたも素直に答えるなよ・・・何だろ、優し過ぎたんじゃないの?
他の人達との会話をそれとなく聞いていたら、何だろ、胸が痛く
なって来た。気を使い過ぎていたんじゃないの?もっともっと
我侭に振る舞えばいいのに。いや、それが出来ねえから・・・か。
儚い。何か、見てるだけで、辛い。だからと言って、僕が
どうする事も出来ないのだけれど。


担当している利用者さんをこのクリニックに連れて来るサービスに
携わって、もうすぐ丸1年か。いろんな人を見たな。
知らなかった世界を見たな。これからも色々見るのだろうね。


心が痛む。しかし、知ってよかった。
世界と時代の歪みの縮図が、ここにあった。

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おい、実は彼女が美貌の持ち主だったから、
気に留めたのだろ、俺。ああきたねえ、また自己嫌悪だわ。


いやいや、きたないけれど、これが本音。僕はこんな事
考えてばかりの男です。きたないけれど、穢くは、ない筈さ。


明日もいい日にしてみせますよ。個人的には、いい日にする為、
結構頑張れておりますが。まだまだかな? おやすみなさいませ。