林道日本一周の日記より Vol.4

長崎めがね橋

昨日に引き続き1997年の旅日記から。
丸8年前の今日の出来事。

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・1997年12月4日(木)快晴

 6:20起床。今朝もまたクソ寒い。残った
 ご飯にインスタントラーメンをブチ込み、
 ラーメン雑炊にして朝食。食後、洗顔
 歯磨き、用便。トイレがあるので助かる。
 

 ミャアオと野良猫がやって来て、なんかくれと
 ばかりにすり寄って来る。昨夜の缶詰の
 残り汁をペロペロやっているが、そんな
 もんではどうにもならんだろう。

 
 出発前に近くのファミリーマートへ寄り、
 昼食用(何処で食えるか解らないので、
 事前に買っておく事が多い)の菓子パンと
 サンドウィッチを買うついでにネコ缶を
 買って持って行ってやる。


 そんな事してる間に大いに遅れ出発は9:25。
 この時間くらいになると、割と暖かくなった。


 小浜町まで、昨日利用したR251ではなく、崖沿いの
 県道201経由で戻る。至る所からモウモウと湯気の
 上がる小浜温泉の中心部を抜け、R57へ。
 雲仙温泉辺りまでどんどん標高を上げて行くので
 気温下がり結構寒い。


 下りに掛かる。島原から海を挟んで熊本市方面が
 見渡せる俵石展望所で休憩。暖かい缶入りミルクティー
 買う。朝沸かしておいたお湯が入った500ml保温ポットが
 あり、それでインスタントコーヒーを作っても
 いいのだけれど、こういう時は甘いものが欲しくなる。
 キラキラ光る島原湾を見つつホッと一息。


 深江町に下りて来る。あの大災害より6年。
 4年前に訪れた際は、まだ災害の爪跡も生々しく、
 とてもカメラを向けられるような状況では無かった。
 流石に6年経てばきれいに元通り・・・かと思えば、
 水無川周辺は未だに当時の様子を残しており、
 荒々しい姿の普賢岳と共に見ていると、自然の
 パワーには逆らえない、でもしかしどん底
 中からでも立ち直って来る人間の強さ、したたかさを
 強く感じた次第。


 途中、ドライブインの駐車場で朝買ったもので
 昼食を採り、諫早市でR34へ。交通量が増えてくると
 やがて長崎市だ。路面電車と併走しつつ中心部へ。


 有名であるらしい「めがね橋」の看板を見つけたので
 そちらへと向かう。バイクを降りてしばし歩き、
 橋の写真を撮ったりしたいると、小学生の男の子と
 女の子が困り果てたような顔をして橋の上から
 川を見ている。「どうしたの?」と声を掛けると男の子
 「たまごっちのキーホルダーを落としちゃったの・・・」
 と川の中を指差す。確かに小さなキーホルダーが
 落ちている。よーしまかしとき、とばかりにブーツを
 脱ぎ、川に入って(冷たかった・・・)バシャバシャ
 やりつつそいつを拾い上げてやる。


 ふと見上げると沢山の観光客らしき人々が
 笑いながらこっちを見ており、あるおばさんなど
 何を思ったか写真まで撮っている。ただでさえ
 目立つ格好してるのに恥ずかしかった。


 でも子供達にお礼を言われ、その嬉しそうな顔を
 見ていると、恥ずかしさも忘れて嬉しくなった。


 男の子はバイクに興味津々。跨らせてエンジンを
 掛けさせてやると、これまた大層喜んでくれた。
 自分も大きくなったらバイクに乗りたいと・・・
 女の子も乗りたそうだったけど、結局怖がって
 乗らなかった。はは、かわいいなあ。


 これを期に、困っている人を見かけたら助けよう、
 なんて思いが強くなってくれるといいな、なんて
 ガラにもなくエラそうな事を考えてしまったぜ。


 夜景がとても美しいと聞く稲佐山公園へ向かう。
 今夜はここで野宿したい。でも日没までまだ間が
 あるので、あちこち巡って良さそうな場所を
 探しておいてからバイクの注油と増し締め、
 モトクロスパンツに空いた穴の補修その他を
 時間を掛けて行う。


 日も暮れ、およそ人気が無くなってから
 目をつけておいた場所にテントを設営。
 夕食は米を炊き、レトルト親子丼をかけて食う。
 ここんところまともに料理してないな。
 手抜きばっかだぜ・・・


 夜景を見に行く。地上に星を散りばめたような美しさ!!
 数日前の漠然とした予定ではもっと先に進んでいる
 筈だったので、ここで野宿出来たのは本当にラッキーだった。
 

 今日はいい日だ。


 つめたい冬の旅の中にもあったかいものがいっぱい。
 身体が暖まる事はあまり無いけど、でもこころが
 暖まる事はいっぱいある。


 そんな旅に出て良かったと思うし、
 普通の人にはちょっと出来ないかもしれない
 事を経験している自分に、ちょっとだけだけど
 自信が持てる。落ち込む事の方が多いけど、
 それでも一生懸命生きて行こうと思い返す
 事が出来る・・・

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馬鹿さ加減、間抜けさ加減は相変わらずだけど、
近年の自身のパワーの衰えは流石に感じていた。
こんな旅はもう2度と出来ないし、やる気も無いかも。


でもどうなんだろう。もしかしたら
衰えたのでは無く、パワーを向ける
方向が変わっただけなのかもしれないな。
パワーの掛け方も変わったのかもしれないな。


それなら、それでいいって思えるよ、今は。


パワーを向けられるのではないかと、おぼろげ
ながらも思える対象があるうちはね。


僕の根本は変われないみたいだし、一方で
周りがどんどん変わって行くのは仕方ないし、
しかしそれに合わせて表面だけを変えて行く
僕が居るのもまた事実だし。


なんかよくわかんないか・・・へへ。


長くなりすぎたぜ。遺憾。


明日もいい日にしてみせますよ。んじゃ。