あいりん地区の日々
あいりん地区の市営住宅。
統合失調症症の利用者さんのお宅へ。
いつも暗いが、今日は曇天も相まって、
尚更暗い。
利用者さんはこちらが何か話しかけても、およそうわの空。
調子が悪そうだ。
極度のヘビースモーカーであるにも関わらず、
今日はあまりタバコに手を伸ばさず、ただひたすら
寝そべって、中空のどこぞかを見るともなく見ている。
かつては家族で住んでいたこの部屋は、独りで住むには
ちと広い。
30年位前には、如何にあいりん地区にあるとはいえ、
この市営住宅もそれなりに若い家族がいたのであろう。
しかし今となっては、年寄りや障害者、その他社会から
あぶれそうな人々しか住んでいなさそうである。
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あいりん地区に通うようになって早5ヶ月。
何処を通ってもションベン臭く、
何処を通っても所構わず地べたで寝ているオッサンがいて、
何処を通っても胡散臭い奴がウロウロとクスリか何かを売り歩く。
生来の気質であろうか、情けない臆病者のくせして怪しげな場所に
つい顔を突っ込んでしまう。そして今は、仕事として
我が国でも指折りの怪しげな地区に、ほぼ毎日のように
出入りしている。
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今の時期なら地べたで寝ればいい。冬はシェルターに行けばいい。
炊き出しは毎日あるから最低限食うには困らない。
銭が欲しけりゃ、早起きしてセンターへ行き、日雇いの仕事に
ありつけばいい。遠方に飛ばされ、手間賃その他で過剰な
ピンハネにあう危険もあるけど、上手く行けばしばらくは
毎日酒が買える位は稼げる・・・
ある種の人々には、これほど住みよい街は他にないそうで。
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いろんな人生を僅かばかり垣間見つつ、僕は明日もあいりん地区へ。
しかし、この街で何を見てもあんまり驚かなくなってきた自分が怖い(笑)
まあ、いいか。明日もいい日にしてみせますよ。
おやすみなさい。