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退院して数日、その間は
ほとんど突っ伏していた。
自宅に戻り、それまでの
（がん告知からの、だろう
か？）緊張感が一気に
途切れてしまったのかも
しれないなと思った。

経口摂取がなかなか難しい。避けなければならない食品は
あるものの、大概食べてもいいし、むしろ腸ろうを終了
させる為にはどんどん食べなければならない。しかし急に
食べるといきなり嘔吐してしまう。これが食道がん手術後の
ダンピング症状ってやつかい？　少しずつ食べる事を
身体に思い出させてやらなくてはならない。これは
必ず治るらしいので、地道に行くしかなさそうだ。

入院以来まったくがんセンター内から表へ出ていなかったし
退院時も姉にクルマで迎えに来て貰っていたのでおよそ
自力で動いていなかったが、今日は午前中、地元のいつも
行っていたショッピングセンターまで歩いて買いものに
行ってみた。普段ならどうという事もない距離を時間を
かけてゆっくりと歩いた。途中何度か休憩しながらだった。
手術後すぐ移動したICUで、身体中に管がつながれた状態で
歩行訓練をした事を思い出した。あの時と比べれば何と
自由な事か。体力が相当低下しているのでしんどかったが、
何とか行けた。自分が口にしたいと思える飲食物を幾つか
購入したのだった。

帰宅したらすっかりのびてしまい、少しだけ横になる
つもりが昼寝してしまった。でもそれでいいと思う。
これもリハビリになるのだろうから。来週には今度は
がんセンターの外来を受診する為に早い時間帯に電車
移動しなくてはならないし、やがては通勤だってある。
元に戻していかなくてはならないのだ。負けるもんか。

外は雨の気配。金木犀の香りで満ちていた。その時期も
もう終わり頃なのだろうか。そんな季節になっていたのだ。
復帰するのだと思っているが、気持ちが落ち込む時も多い。
秋が、時間だけが進んで行くみたいだ。
でも、明日もいい日にしてみせますよ。ではまたね。